テルアヴィヴからKLMでアムステルダム経由で帰る際、John F. Healey and G. Rex Smith の A Brief Introduction to the Arabic Alphabet という僅か100ページ強のペーパーバックを懐中に忍ばせて、ちょこちょこと読んでました。
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章立ては以下の通り。
Introduction
I. The Alphabet before Islam
II. The Origin of the Arabic Alphabet
III. The Earliest Arabic Scripts - Pre and Early Islamic Inscriptions
IV. The Arabic Papyri
V. The Classical Arabic Scripts - Kufic and naskhi
VI. The Arabic Scripts beyond the Arabic Heartlands - North Africa, Iran and Turkey
VII. Arabic Writing Today
章立てでは7章ありますが、2章までで全体の半分ほどの量です。
アラビア文字の前身である、ナバテア文字草書体(≠記念碑体)までたどり着くためには原シナイ文字からの文字史を説く必要があるため、どうしても分量が多くなるのでしょう。
学部生レベルの入門書を想定しているため特に目新しい記述はありませんでしたが、中近東文字史がコンパクトに纏まっているので、その分野に興味がある人は読んでみてもいいかも知れません。
日本では(海外でもかな)ナバテア語やナバテア史はあまりメジャーな分野ではないのですが、紀元前後数世紀、及び現ヨルダン・イスラエル南部、サウジアラビア北部という時間的・地理的重要性から、言語学・歴史学・(旧新)聖書学・アラビア語学・宗教学等の分野でもっと注目されるべき分野だと思います。
なお、ナバテア語自体はアラム語、特に中期アラム語の地域変種の一つと捉えるのが一般的ですが、ナバテア人自体はアラビア語が母語だったようです。当時はまだアラム語がリングア・フランカとして行政・商業の国際語として広く通用していた時代ですね。ナバテア王国崩壊後の碑文や墓碑はナバテア文字で書かれているにも関わらず、アラビア語要素がかなり強くなっていくみたいですが、不勉強のため例示出来ません。
日本では(海外でもかな)ナバテア語やナバテア史はあまりメジャーな分野ではないのですが、紀元前後数世紀、及び現ヨルダン・イスラエル南部、サウジアラビア北部という時間的・地理的重要性から、言語学・歴史学・(旧新)聖書学・アラビア語学・宗教学等の分野でもっと注目されるべき分野だと思います。
なお、ナバテア語自体はアラム語、特に中期アラム語の地域変種の一つと捉えるのが一般的ですが、ナバテア人自体はアラビア語が母語だったようです。当時はまだアラム語がリングア・フランカとして行政・商業の国際語として広く通用していた時代ですね。ナバテア王国崩壊後の碑文や墓碑はナバテア文字で書かれているにも関わらず、アラビア語要素がかなり強くなっていくみたいですが、不勉強のため例示出来ません。
著者のJohn F. Healeyはマンチェスター大のセム語学教授。個人的にはアラム語研究者としての印象が強い(特にナバテア語)のですが、ウガリット語研究者でもあります。上記のアラビア文字史入門と似たようなコンセプトで、以下のような日本語翻訳もあります。
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個人的には南セム語に疎かったので、勉強になりました。
余談ですが東京大学のシリア語の授業ではHealeyの学習書を使って授業をしているみたいです。
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私自身はシリア語を独習する際、Healeyの学習書ではなくThackstonを使ったのですが、このことに関してはまた後日。
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