去年春にアフガニスタンで拘束され、つい最近もパキスタンの空港で不当に拘束されたジャーナリスト、常岡浩介さんのことを覚えてらっしゃる方は多いと思います。
本書はアフガニスタンでの157日間に及ぶ拘束を描いたもの。
帯に常岡さん自身の言葉として「大真面目に取材をしているつもりですが、ギャグマンガになってしまいました。」と銘打たれていますが、しかり、アフガニスタンで誘拐され人質になるという危機的状況なのにとてもユーモラス。にしかわたく氏の絵柄と、常岡さん自身の人柄がなせる業でしょうか。常岡さんの愛猫「かんだたみ」に対する深い愛も窺える良書です。関係ありませんが、常岡さんがよくかんだたみの写真をtwitterでアップロードするので、妙にそこら辺の猫よりも親近感を感じるようになっています。
この本の中で重要なのは、結局常岡さんを誘拐したのは巷間で伝えられるようにタリバンではなく、「一応政府側」のヒズブ・イスラーミーの末端だということです。在アフガン大使館も「タリバンだ」ということにしていますが、一応日本政府のカウンターパートであるカルザイ政権のガバナンスの実態を慮ってのことか、単なるバカかのいずれかでしょう。
これからのアフガニスタン情勢はカルザイ政権とタリバン側(及びパシュトゥーン)の関係如何というものが大きな比重を占めておりますが、カルザイ政権内部でもかなりの腐敗が進んでおり、一枚岩とは決して言えないことは、常岡さんの一件を考えても明らかでしょう。
余談ですがカルザイは面倒な役を頑張ってこなしてるなあと感心してしまいます。去年実際に会って印象が良かったからでしょうか。現時点では二期目の大統領任期が切れる2014年の選挙には出馬しない(三選は禁止)意向を示しているみたいですが、ポストカルザイがどなるのか、まだまだ分かりませんね。
なお、この前高橋礼一郎駐アフガニスタン・イスラム共和国特命全権大使の講演をお聞きしましたが、カルザイは3月13日の時点で、今回の震災のために在アフガニスタン日本大使館邸宅を訪れたとのこと。他国と比べても相当な早さだそうです。
常岡さんの著書として、以下のものをオススメしたいと思います。
この本は常岡さんがチェチェンゲリラとともに野を越え山を越え従軍したことを中心に描いておりますが、その内容は凄まじいの一言に尽きます。
特に「難民にすらなれない状況」というのにはガツンとやられました。
こちらも併せて是非読んで頂きたい一冊です。
常岡さんとは一度お会いしたことがありますが、柔らかな物腰の中にも芯の強さを感じさせる人物で、著書やtwitterの呟きから感じる人物像と比べて全くブレがなく、印象通りでした。
これからも私たちの知らない世界の声を届けてくれる稀有な人物として、尊敬し、また応援しております。願わくば彼の声が世界に広く届き、日本政府や関係機関からの妨害が少しでもマシにならんことを。
常岡さん、人質になる。 にしかわたく 岡本まーこ 常岡浩介 エンターブレイン 2011-08-31 売り上げランキング : 7682 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
帯に常岡さん自身の言葉として「大真面目に取材をしているつもりですが、ギャグマンガになってしまいました。」と銘打たれていますが、しかり、アフガニスタンで誘拐され人質になるという危機的状況なのにとてもユーモラス。にしかわたく氏の絵柄と、常岡さん自身の人柄がなせる業でしょうか。常岡さんの愛猫「かんだたみ」に対する深い愛も窺える良書です。関係ありませんが、常岡さんがよくかんだたみの写真をtwitterでアップロードするので、妙にそこら辺の猫よりも親近感を感じるようになっています。
この本の中で重要なのは、結局常岡さんを誘拐したのは巷間で伝えられるようにタリバンではなく、「一応政府側」のヒズブ・イスラーミーの末端だということです。在アフガン大使館も「タリバンだ」ということにしていますが、一応日本政府のカウンターパートであるカルザイ政権のガバナンスの実態を慮ってのことか、単なるバカかのいずれかでしょう。
これからのアフガニスタン情勢はカルザイ政権とタリバン側(及びパシュトゥーン)の関係如何というものが大きな比重を占めておりますが、カルザイ政権内部でもかなりの腐敗が進んでおり、一枚岩とは決して言えないことは、常岡さんの一件を考えても明らかでしょう。
余談ですがカルザイは面倒な役を頑張ってこなしてるなあと感心してしまいます。去年実際に会って印象が良かったからでしょうか。現時点では二期目の大統領任期が切れる2014年の選挙には出馬しない(三選は禁止)意向を示しているみたいですが、ポストカルザイがどなるのか、まだまだ分かりませんね。
なお、この前高橋礼一郎駐アフガニスタン・イスラム共和国特命全権大使の講演をお聞きしましたが、カルザイは3月13日の時点で、今回の震災のために在アフガニスタン日本大使館邸宅を訪れたとのこと。他国と比べても相当な早さだそうです。
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この本は常岡さんがチェチェンゲリラとともに野を越え山を越え従軍したことを中心に描いておりますが、その内容は凄まじいの一言に尽きます。
特に「難民にすらなれない状況」というのにはガツンとやられました。
こちらも併せて是非読んで頂きたい一冊です。
常岡さんとは一度お会いしたことがありますが、柔らかな物腰の中にも芯の強さを感じさせる人物で、著書やtwitterの呟きから感じる人物像と比べて全くブレがなく、印象通りでした。
これからも私たちの知らない世界の声を届けてくれる稀有な人物として、尊敬し、また応援しております。願わくば彼の声が世界に広く届き、日本政府や関係機関からの妨害が少しでもマシにならんことを。