日本に帰った時に本屋の音楽コーナーをブラブラしていたら、こんな面白そうな本が。
目次は以下の通り。
序章 ベルリンで聴いたクレズマー・コンサート
第1章 あるピアニストの名前への覚え書き
第2章 「縫い目」と「胞子」で辿るクレズマー小史
第3章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(1)
第4章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(2)
第5章 第二次世界大戦中の上海で流れたクレズマー
第6章 「子牛」のまわりにいた人たち
第7章 ユダヤ人の笑いをクレズマーのなかに探る
終章 クレズマーが辿った長い旅路の果てに
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目次は以下の通り。
序章 ベルリンで聴いたクレズマー・コンサート
第1章 あるピアニストの名前への覚え書き
第2章 「縫い目」と「胞子」で辿るクレズマー小史
第3章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(1)
第4章 シャガールの描いた楽士はどんな音楽を演奏したか(2)
第5章 第二次世界大戦中の上海で流れたクレズマー
第6章 「子牛」のまわりにいた人たち
第7章 ユダヤ人の笑いをクレズマーのなかに探る
終章 クレズマーが辿った長い旅路の果てに
著者のお名前は何度か拝見したことはありましたが、文章を読むのはこれが初めてです。
ここ一年弱ほど、ユダヤ人の音楽、特にセファラディー(スペイン系ユダヤ人)の音楽を愛好しているのですが、実はクレズマー・イディッシュ音楽にはまだまだ親しみがありません。Eitan Masuriなどのイスラエル産の再解釈したホラなどは大好きなのですが、自分にとっては未だ未知に等しい領域。昨日エルサレムのCDでダニエル・カーンのCDを一枚買いましたが。
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閑話休題。
読後の感想としては、多少の予備知識は必要とされるかな、という感じです。元が論文なので当たり前ですが。個人的には非常に興味深く読みました。東欧アシュケナズィーの文化はまだまだ個人的に未開拓なのですが、この本のおかげでイディッシュ劇場等に興味が湧きました。
読後の感想としては、多少の予備知識は必要とされるかな、という感じです。元が論文なので当たり前ですが。個人的には非常に興味深く読みました。東欧アシュケナズィーの文化はまだまだ個人的に未開拓なのですが、この本のおかげでイディッシュ劇場等に興味が湧きました。
個人的に心に残ったのは二点。アーロン・ゼイトリンの「子牛」(ドナドナです)を巡る議論、及び「ウスクダラ」考です。
「子牛」に関しては、小岸昭『離散するユダヤ人』でも触れられていて興味を持ったのを記憶していますが、
黒田氏の一章ではかなり詳しく議論されており、興味深く読みました。
「ウスクダラ」に関してですが、個人的にもこの曲を、追っかけてるっていう程ではないですが、注意して調べています。
というのは、私はこの曲が「ウスクダラ」として有名だということを知らず、まずは同じメロディーをアラビア語詞で知り、その後セファラディーの「伝統曲」として「再発見」し、その後ようやく江利チエミ「ウスクダラ」やトルコ民謡曲として、さらには本書で紹介されているBrandweinのクレズマーの「Der Terk in America」、あるいはアーサーキットの録音を「新発見」したからです。
黒田氏も本書の注で挙げられているように、ミュージックマガジン2008年4月号に高橋修がウスクダラのルーツを探る論考を掲載しており、「ウスクダラ」のメロディーは地中海のみの産物とばっかり思っていたので、これはこれで非常に面白いのですが、高橋氏も黒田氏もセファラディー・アラビア語詞の方には触れておらず、そちらから知った身としては不満が残ります。
今一般に知られてる詞はトルコを舞台にした「ウスクダラ」であり、トルコ産のものだと思われますが、セファラディーのもの(「Fel Sharah」で始まるのでそう名付けられることが多いような気がします)はアラビア語・フランス語・イタリア語・スペイン語・英語のミックス、アラビア語詞の方(「Ya Atholey」で始まる)はアラビア語のみで、特にトルコのユシュクダルでどうしたという話ではありません。
私はクレズマーのレパートリーにも入ってたというのが驚きでしたが、これをきっかけに、この歌を叩き台にして、東欧・アメリカだけではなく、広く地中海(≒オスマン領)を含めた、各文化の交渉史について想いを馳せるのもいいかも知れませんね。ちなみにセファラディーの方はGerard EderyとGeorge Mgrdichianによる録音が好きで、アラビア語の方は僕の好きなイラク人アーティスト、Ilham al-Madfaiのベイルートライブの録音が好きです。
(Gerard EderyとGeorge Mgrdichianのが出てこなかったのでこちらで代用。Fel Sharahの別録音が収録されてます)
なお、本書の末尾にはクレズマーのディスクガイドがありますので是非活用して下さい。特に第七章なんかはミッキー・カッツの実際の録音を聞きながら読んだりしたら楽しそうです。
(ちなみにカッツはイディッシュ(ドイツ)語で「ネコ」。ミッキーマウスではなくて、ですね)
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「ウスクダラ」に関してですが、個人的にもこの曲を、追っかけてるっていう程ではないですが、注意して調べています。
というのは、私はこの曲が「ウスクダラ」として有名だということを知らず、まずは同じメロディーをアラビア語詞で知り、その後セファラディーの「伝統曲」として「再発見」し、その後ようやく江利チエミ「ウスクダラ」やトルコ民謡曲として、さらには本書で紹介されているBrandweinのクレズマーの「Der Terk in America」、あるいはアーサーキットの録音を「新発見」したからです。
黒田氏も本書の注で挙げられているように、ミュージックマガジン2008年4月号に高橋修がウスクダラのルーツを探る論考を掲載しており、「ウスクダラ」のメロディーは地中海のみの産物とばっかり思っていたので、これはこれで非常に面白いのですが、高橋氏も黒田氏もセファラディー・アラビア語詞の方には触れておらず、そちらから知った身としては不満が残ります。
今一般に知られてる詞はトルコを舞台にした「ウスクダラ」であり、トルコ産のものだと思われますが、セファラディーのもの(「Fel Sharah」で始まるのでそう名付けられることが多いような気がします)はアラビア語・フランス語・イタリア語・スペイン語・英語のミックス、アラビア語詞の方(「Ya Atholey」で始まる)はアラビア語のみで、特にトルコのユシュクダルでどうしたという話ではありません。
私はクレズマーのレパートリーにも入ってたというのが驚きでしたが、これをきっかけに、この歌を叩き台にして、東欧・アメリカだけではなく、広く地中海(≒オスマン領)を含めた、各文化の交渉史について想いを馳せるのもいいかも知れませんね。ちなみにセファラディーの方はGerard EderyとGeorge Mgrdichianによる録音が好きで、アラビア語の方は僕の好きなイラク人アーティスト、Ilham al-Madfaiのベイルートライブの録音が好きです。
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なお、本書の末尾にはクレズマーのディスクガイドがありますので是非活用して下さい。特に第七章なんかはミッキー・カッツの実際の録音を聞きながら読んだりしたら楽しそうです。
(ちなみにカッツはイディッシュ(ドイツ)語で「ネコ」。ミッキーマウスではなくて、ですね)
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